笑う時の日記

生かされも殺されもする。それが笑い。その魅力が伝われば。

鉄拳は王道の芸人


MUSE / EXOGENESIS PART 3 (REDEMPTION) 鉄拳 ...
九月九日㈰、NHKの昼のトーク番組『スタジオパークからこんにちは』に鉄拳が出た。現在は朝の連続ドラマ『あまちゃん』で彼はパラパラ漫画を描いているなど、どちらかというと芸人というよりアーティスト寄りの活動をしている彼だが、10年位前に『たけしの誰でもピカソ』で彼を知った身としてはやはり彼は芸人なのだなと強く感じた放送であった。

彼の芸風はいわゆるフリップ芸である。彼の達者な絵が描かれたフリップをめくりながら「こんな○○は××だ!」などと漫談をしていく。ビートたけしが今でも時折『ニュースキャスター』などの番組でみせる「こんな○○は嫌だ!」の進化系と言える。しかしそこでより強烈なインパクトを見せつけているのが彼の風貌と喋り。白塗りした顔に真ん中を刈ったヘアスタイルと特撮の怪人みたいなコスチューム。まとまらないふにゃふにゃした喋り(なんかこう、ギャー、ガビーン、あれこれダメ?とか言っちゃうくらい!)。絵がうまいのでネタの面白さや状況は理解できるが、それこそ他のフリップ芸人の方がもっとうまく出来るだろう。しかしだからこそ他のフリップ芸人とは違い、ブレイクに繋がったのだと思う。

今の芸人はネタが面白いだけ。この人だからという良さがないと聞く。それが最もよく表れているのがフリップ芸ではないか。誰が始めたのかは分からないが、よりシンプル化して模倣する芸人が増えたのは、やはりいつもここからが「悲しいとき」のネタでブレイクしてからではないか。それ以外は前述のたけしや松本人志の『一人ごっつ』での自由な大喜利も大きいかもしれない。そこから少なからず芸人をやる敷居が下がったであろう。

しかし、その結果ツッコミ目線の芸人がより増えたといえる。確信犯的にフリップに書かれた事象を捉え、笑いに変えていく様はインテリな印象を感じるものの、やはりそこからの無個性さや予定調和さや上から目線が鼻につく感じはつまらない。一般人のネット上の大喜利も面白いものとつまらないものの差が非常に大きい。まさにマキタスポーツが『一億総ツッコミ時代』で指摘していたようなことだ。 

その点、鉄拳の弱点とも取れるふにゃふにゃしたまとまらない喋りは、実は大きな強みなのだ。一応は未来の戦士だとかいう設定はあるがそれは彼のネタやふにゃふにゃした喋りで、世界観とキャラクターのあやふやさが出ると同時に見る側のハードルが極端に下がる。よって笑いやすい状況が出来るのだ。これはマギー司郎つぶやきシローに近い。最近だとスギちゃんの荒さにも近いものがあるかもしれない。河原者としてのルーツを持つ芸人は客の笑いものになると同時に愛される存在となる。その意味で鉄拳は王道の芸人だ。おぼつかないトーク、子供に泣かれる、周りを見回す、今以上に色々とおぼつかないオンバト出演時の映像。そしてネタ。周りの空気を変える存在なのであった。


【お笑い】鉄拳と あまちゃん!? 「 こんな! あまちゃんは 嫌だ!!」 - YouTube

アーティストとしても、芸人としての彼も今後大いに期待したい。

こんな○○は××だ!―鉄拳作品集

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こんな○○は××だ! 2―鉄拳作品集

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こんな○○は××だ!(3)

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