笑う時の日記

生かされも殺されもする。それが笑い。その魅力が伝われば。

笑いはきっと負けない。偉大な先人たちがいる限り。~『笑いの花伝書』滝大作

 

笑いの花伝書

笑いの花伝書

 

 笑いの花伝書

コメディー作家、演出家として古くからテレビや舞台に関わってきた著者の作品。

この著作から戦前から戦後にかけての日本・外国のコメディや喜劇(映画)の歴史や凄みが理解できる点は非常に良書だ。しかし、本人も認めている通り熱く時には共感できない暴論も述べるが、くるくる考え方も変わる。人によっては暑苦しくてたまらないだろう。

しかしそれを裏付けるエピソードがこの本に書いてある。筆者は戦争を体験しており、近所のアカが大本営帝国の発表は嘘だと天皇は人間だとの真実を述べ、実際にのちにその通りになって、茫然とする。秘密保護法で冗談じゃなく戦中の非常識な世界に近付きつつある今の日本にこのエピソードは響く。それでも、加えて駄目な人間だった彼を救ったのは笑いなのだ。笑いは本当に大きな力がある。文中にある「笑いは物事を解決する力はないが、制度の偽善を暴くことはできる」というのは確かなのだ。

ザ・ニュースペーパーのコントの話。由利徹の喜劇人としてのプライドなどの貴重なエピソード、喜劇とホラーの違いやボケとツッコミの関東関西の意味合いの違いなどの解説は非常に良いテキストだ。

ファンとして、裏方として。現場でお笑いに関わってきた著者だからこその昔の俗っぽい笑いの世界が体感できる本だ。